出版社時代~社内カメラマンになるまで〜
前回からの続き。引き寄せフィーバーが押し寄せます。
出版社で働くことになった私は、同タイミングで入った仲間たちとウェブの編集作業をしていました。カメラマンやデザイナーたち制作部と同じ部署で、クリエイターの方々と関わる機会も多かったので、面接で対応してくれた先輩が、さくっとカメラマンさんに「写真をはじめたいと言っていた子です」と紹介してくれました。そこから話はトントンと進み…なんと先輩カメラマンさんの下で働かせてもらうことに!はじめは配属されていた本来の編集業務を半分、カメラマンの助手を半分という仕事スタイルで働かせてもらうことになりました。
先輩カメラマンは某大学写真学科を卒業した華々しい経歴。かたや私は異業種からの転向で、「写真を撮る」ことに関するベースはゼロ。彼からしたら、私は「本当にやる気あんのか?」の疑いの目だったと思います。そりゃそうです。コードひとつ上手にまとめられない。スタンドひとつまともに畳めない。ストロボってなんだ?レフ板ってなんだ?メカニックにめっぽう弱い。ド文系一直線で来てしまった私、、「こいつ大丈夫か?」って思われてもしかり。まずはマインドを変えることから。自分をリセットして、新しい価値観に入れ替える必要がありました。
初めての撮影現場。フリーペーパーを発行しているこの会社では、地元の飲食店やエステ、ネイルサロン、住宅など様々なジャンルの店舗さんを営業と回ることが多く、毎日何件も取材取材がありました。カメラマンのカレンダーは案件でぎっしり。
まずは業務を覚えねば、と先輩カメラマンの背中を見ながらメモをとる日々。見るものすべてが目新しすぎて、ワクワクの気持ちもありつつ、頭がパニック状態でした。ひとつひとつ知らない単語を聞き調べ、先輩の細かな動作も頭に叩き込み、毎日を過ごしました。
カメラに関して、まず先輩に言われたのは、「光を知る」ことから。撮影部屋にこもり、自分なりにライティングを組んで、ISO、絞り、シャッタースピードの関係性による光が取り込まれる量の違いを徹底的に頭に叩き込みました。先輩の作業を眺めていることも大事ですが、まず自分で実験的に撮ってみて体感すること。「こう撮ると、こうなるんだ~」を徹底的にやりました。このとき、写真を撮るということは、感覚や感性も大事ですが、考え抜かれた理屈で成り立っているんだと実感しました。世の中で紙面やウェブに大々的に掲載されている写真たち。緻密に計算されたうえで完成していると思うと、やはりカメラマンというのは「職人」なんだなあと、ますます憧れていくのでした。
そして、訪れる私のデビュー戦。もうずいぶん前で忘れてしまいましたが(笑)。たしか、居酒屋の撮影だったでしょうか。
デビュー戦の続きは次回。